2022年10月に発売したiPad Pro 12.9インチ(第6世代)は12.9インチのミニLEDバックライト内蔵ディスプレイにAppleシリコンのM2チップをiPad Pro 12.9インチ(第5世代)の後継機種です。
第5世代 → 第6世代の進化は少なく乗り換えるメリットは少ないですが、それ以前のモデルからは確実にスペックが進化して使いやすくなっています。
この記事では、iPad Pro 12.9インチ(第6世代)をレビューし実際に使ってどうなのかメリット、デメリットを書いているので検討してる方は参考にしてください。
「Apple iPad Pro 12.9インチ(第6世代 )」の特徴
第6世代のスペックを第5世代と比較
iPad Pro 12.9インチ(第6世代)と(第5世代)のスペックを比較しました。
第6世代(2022) | 第5世代(2021) | |
---|---|---|
ディスプレイ | 12.9インチ(2,388 × 1,668ピクセル) Liquid Retina XDR(液晶・ミニLEDバックライト) ProMotionテクノロジー(120Hz) 最大輝度:600 – 1000 – 1600ニト(HDR) 広色域(P3)、True Tone、フルラミネーション | |
SoC | M2 8コアCPU(高性能コア4 + 高効率コア4) 10コアGPU Neural Engine(16コア) | M1 8コアCPU(高性能コア4 + 高効率コア4) 8コアGPU Neural Engine(16コア) |
メインメモリ | 8GB/16GB(1・2TB SSDを搭載モデル) | |
ストレージ | 128GB・256GB・512GB・1TB・2TB | |
生体認証 | Face ID(顔認証) | |
リアカメラ | 広角:1200万画素・ƒ/1.8 超広角:1000万画素・ƒ/2.4 深度:LiDARスキャナ スマートHDR 3、Live Photos、4K 60fps動画撮影、HDR 10撮影対応(最大30fps)、1080p 120/240fps スローモーション、ステレオ録音 | |
インカメラ | 超広角:1200万画素・ƒ/2.4 TrueDepthカメラ、センターフレーム対応 | |
オーディオ | 4スピーカーステレオスピーカー | |
通信性能 | Wi-Fi 6E(802.11ax)、Bluetooth 5.3、5G通信、eSIM対応(セルラーモデル) | Wi-Fi 6(802.11ax)、Bluetooth 5.0、5G通信、eSIM対応(セルラーモデル) |
バッテリー | 40.88Wh | |
ポート | USB-C DisplayPort、Thunderbolt 3(最大40Gb/s)、USB 4(最大40Gb/s)、USB 3.1 Gen 2(最大10Gb/s) | |
サイズと重量 | 214.9 × 280.6 × 6.4mm Wi-FIモデル:682g セルラーモデル:684g | |
価格 | Wi-Fiモデル:174,800円〜 セルラーモデル:196,800円〜 | – |
発売日 | 2021年5月21日 | 2022年10月18日 |
iPad Pro 12.9インチ(第6世代)と(第5世代)のスペックはほぼほぼ同じでSoCと通信規格の性能が異なるほどしか進化していないのが実情です。
- SoC:M1(8CPU + 8GPU) → M2(8CPU + 10GPU)
- Wi-Fi:Wi-Fi 6 → Wi-Fi 6E
- Bluetooth:Bluetooth 5.0 → Bluetooth 5.3
- Apple Pencil:ポイント(ホバー機能)に対応
M1からM2チップになって性能と電力効率が向上し内部スペックが向上しただけでなく、6GHz帯のWi-Fiに対応し、Bluetooth 5.3の新規格も使えるのになりました。
また、Apple Pencil(第2世代)を使うときにポイント表示ができるホバー機能を搭載してるので、イラスト制作がしやすく進化しています。
細かい進化なのでM1モデルからの乗り換えは微妙なところですが、iPad Pro 12.9インチ(第4世代)からなら大きな進化を感じることができるはずです。
デザイン
今回発売した新型iPad Proは、2021年に発売した前モデルのマイナーアップデートモデルとなっていて、デザインの変化はほとんどありません。
前面はベゼルレスデザインの採用により、端末の端から端までいっぱいに画面が広がります。本体側面のカクカクとした直角エッジも変わらずで、手に馴染み持ちやすく、電子書籍を読むときなど長時間手に持って使うにも最適です。
本体サイズは高さ247.6 × 幅178.5 × 厚さ5.9mm、重量は466g。片手で軽々と持てるサイズ感・重量感は、先代モデルからしっかり引き継がれています。
M2チップで超高性能
iPad Pro 12.9インチ(第6世代)のSoC(システムオンチプ)はApple M2を搭載しています。
MacBook Air(M2)の8コアGPUを内蔵したタイプではなくMacBook Pro 13インチ(M2)の10コアGPUと同じ上位版のM2チップを採用してるのがスゴイところです。
SoC 性能比較
第6世代(2022) | 第5世代(2021) | |
---|---|---|
SoC | M2 | M1 |
CPU | 8コア(4+4) | 8コア(4+4) |
GPU | 10コア | 8コア |
Neural Engine | 16コア(15.6兆回/秒) | 16コア(11兆回/秒) |
RAM | 8GB / 16GB | 8GB / 16GB |
プロセス | 5nm(第2世代) | 5nm |
トランジスタ数 | 200億個 | 160億個 |
M1 → M2チップになったことでCPUは最大15%、GPUは最大35%、Neural Engineが40%高速化、メモリ帯域幅は50%広く高速化して処理性能が高くなっています。
iPad Pro 12.9インチ(第6世代)のストレージは128GB、256GB、512GB、1TBと2TBも選べます。
1TBと2TBモデルはメインメモリが8GBから16GBに増えるので外部モニターの拡張モードでマルチタスク作業するのに適しています。
バッテリーの持ち
iPad Pro 12.9インチ(第6世代)のバッテリー容量は(第5世代)と同じ40.88Whとなっています。
電池の減りを比較
第6世代(2022) | 第5世代(2021) | |
---|---|---|
バッテリー容量 | 40.88Wh | |
PUBG(30分) | 76% → 67% 9%消費 | 69% → 60% 9%消費 |
原神(30分) | 68 → 60%:8%消費 | 69 → 61%:8%消費 |
YouTube(1時間) | 61 → 47%:14%消費 | 60 → 47%:13%消費 |
電池減りはほぼ同じで誤差レベルとなっていて、実際に使ってみて電池持ちの減りに違いはありません。Safariによるブログ執筆も1時間に10%ほどバッテリーが減ってくレベルです。
M2チップはGPUのコア数が増えましたがプロセスルールの改善によって電池持ちへの影響は少なく、M1モデルと同じようにしっかり使えるバッテリーライフを実現しています。
ディスプレイのスペック
iPad Pro 12.9インチ(第6世代)は12.9インチのLiquid Retina XDRディスプレイを搭載し基本スペックは従来モデルと同じでミニLEDバックライトを内蔵しています。
ディスプレイの違い
iPad Pro 12.9インチ | iPad Pro 11インチ | |
---|---|---|
パネル | Liquid Retina XDR(ミニLEDバックライト) | |
解像度 | 2,732 × 2,048ピクセル | |
リフレッシュレート | 120Hz(ProMotion) | |
Apple Pencilポイント | 対応 | – |
最大輝度 | 600ニト(標準) | |
仕様 | 広色域ディスプレイ(P3) 、True Toneディスプレイ、耐指紋性撥油コーティング、フルラミネーションディスプレイ、反射防止コーティング |
120HzのアダプティブリフレッシュレートのProMotionテクノロジーに対応し、ミニLEDバックライトを搭載しHDRコンテンツをより鮮明にリアルに表示できます。
また、iPad Pro 12.9インチ(第6世代)はApple Pencilポイントに対応しペン先を画面に触れることなくホバー表示が可能です。
イラスト制作時にホバー表示があった方が描きやすいことがあるらしいので、絵描き師さんにとっては嬉しいアップデートです。
広角 + 超広角カメラを搭載している
iPad Pro 12.9インチ(第6世代)のリアカメラは広角(12MP・F1.8)、超広角(10MP・F2.4)のデュアルカメラに被写体の距離を計測できるLiDARスキャナも搭載しています。
カメラのスペック
第6世代(2022) | 第5世代(2021) | |
---|---|---|
広角 | 12MP・F/1.8 | |
超広角 | 10MP・F/2.4 | |
フロント | 12MP・F/2.4・超広角・センターフレーム | |
高画質技術 | スマートHDR4 | スマートHDR3 |
動画撮影 | 4K60fps、4K30fps ProRes、HDR対応、1080p/240fps | 4K60fps、HDR対応、1080p/240fps |
ぱっと見のカメラスペックは同じですが、SoCが M1 → M2 になってスマートHDR4に対応し4K30fpsでProRes撮影に対応するなど細かいスペックアップはしています。(128GBはフルHD 30fpsでProResに対応)
iPad Pro 12.9インチ(第6世代)のメリット
筆者がiPad Pro 12.9インチ(第6世代)を実際に使ってみて良かったところは、以下の7つです。
- 大画面ディスプレイで作業がしやすい
- ミニLEDバックライト内蔵でHDR表示がキレイ
- ステージマネジャでウィンドウ操作できる
- 外部モニター拡張モードでメイン機としても
- Apple Pencil(第2世代)が使える
- Apple Pencilポイントに対応している
- 4スピーカーステレオスピーカーの音質が良い
ひとつずつ、細かく紹介していきます。
大画面ディスプレイで作業がしやすい
iPad Pro 12.9インチ(第6世代)は画面サイズが12.9インチとかなり大きいので視認性は抜群です。6.7インチのiPhone 14 Pro Maxと比べてもこれだけの表示領域があります。
Smart Keyboard Folioなど外付けキーボードを接続することで、作業用のマシンとしても快適に作業できますし、キーボードを外してApple Pencil(第2世代)を使って広大なキャンバスにお絵描きもできます。
タブレットとして使うには少し大きすぎるので、iPad Pro 12.9インチ(第6世代)はどちらかというと作業をするのに適したタブレットとなっています。
絵とか書かないよって方も多いと思いますが、ノートやメモを取るにしても画面が大きくまとめやすいので普段使いの大きめのノートとして使えます。
ミニLEDバックライト内蔵でHDR表示がキレイ
iPad Pro 12.9インチ(第6世代)は液晶ディスプレイですがバックライトは10,000個を超える「ミニLED」を採用し2,500以上のローカルディミングゾーンに分割しコンテンツに合わせて輝度を調整しています。
ですので、HDR動画を再生すると再生している部分だけの輝度が向上し色鮮やかに動画視聴が可能です。
HDR動画ってなかなか視聴する機会はないですが、iPhone 14で撮影したHDR動画をiPad Pro 12.9インチ(第6世代)で忠実に表示できるので家族の動画をより色鮮やかに楽しめます。
ステージマネジャでウィンドウ操作できる
iPad Pro 12.9インチ(第6世代)はアプリをウィンドウ化してマルチタスク操作ができるステージマネジャに対応しています。
最大4つのアプリを同時に起動できるだけでなく4つのアプリを常駐しタッチでサクッと切り替え可能です。画面サイズが大きいので複数のアプリを並べて作業も視認性・操作性がとてもいいです。
ゲームを縦持ちでプレイできるのはいいですよね。12.9インチの大画面だと原神なんかはプレイしにくいことがありましたが、ウィンドウ化してコンパクトにすることでTwitterしながらプレイも可能です。
外部モニター拡張モードでメイン機としても
さらに、外付けモニター拡張モードに対応しています。外付けキーボード、マウスを接続(またはMagic Keyboard、Smart Keyboard Folio)することで画面を広げることができます。
ミラーリングではなく独立した画面となってるので4KモニターやStudio Displayを使うことで大画面で資料作成をしたり、動画編集が可能となります。
USB-Cポートに対応してない外部モニターでもBelkin USB-C 7-in-1などのハブを使うことでiPadを充電しながらHDMIで画面出力して表示ができます。
iPadの外部モニター拡張モードは待ちに待っていた方も多いと思いますが、iPad Pro 12.9インチ(第6世代)なら持ち運びを楽にしながら自宅や職場でしっかり作業用の端末として使えます。
ただ、中身はiPad OSなのでパソコンとして使うには癖が強いので慣れる必要性はあります。とくにウィンドウ操作、ファイル管理はMacに方が柔軟性が高いので見極める必要はあります。
Apple Pencil(第2世代)が使える
iPad Pro 12.9インチ(第6世代)はマグネットタイプのApple Pencil(第2世代)に対応し端末サイド部分にある充電パッドにくっ付けてペアリング、充電ができます。
120Hzのリフレッシュレートにも対応した高品質なディスプレイなので文字もスムーズに遅延少なくノートアプリに書き込むことができます。
ペン側のタッチセンサーをダブルタップすることで消しゴムモードにしたりツールを切り替えたり、スクラブルで手書き文字をテキストデータに変換して使えるので使い方は無限大です。
お絵描きができなくても手書きでノートを取ったり手書き文字をテキストデータに変換してブログを書いたり、そんな使い方も可能となっています。
Apple Pencilポイントに対応している
iPad Pro 12.9インチ(第6世代)はApple Pencilポイントにも対応しています。いわゆる液タブにあるホバー機能ですね。
画面を触れることなくどこに照準が合ってるのか分かるのでイラストを描くときにどこにペン先を置いたらいいか確認しながら作業できるのでミスが少なくすることができます。
液タブでイラストを描いてることに慣れてる人がiPadに移行できない理由がホバー機能がないこともあるそうなので、iPad Pro 12.9インチ(第6世代)で対応したApple Pencilポイントは絵描き師さんにとって嬉しいアップデートではないでしょうか。
4スピーカーステレオスピーカーの音質が良い
iPad Pro 12.9インチ(第6世代)は本体の上下左右に4つのスピーカーを内蔵しています。
構成としては従来モデルと同じで縦向き、横向きで自動的に低音高音、左右のチャンネルが可変しどの角度からも常に最適なステレオサウンドの視聴が可能です。
音質はiPad Pro 12.9インチ(第5世代)と比べて音に違いはないですが、タブレット端末とは思えないくらい良くて外部スピーカーなしで音楽を十分楽しめるほどのサウンドを奏でることができます。
iPad Pro 12.9インチ(第6世代)のデメリット
手で持って使うタブレットとして大きい
iPad Pro 12.9インチ(第6世代)は12.9インチの大画面ディスプレイを搭載したタブレット端末で手で持って操作するには少し大きいと感じる場面があります。
たしかに画面が大きくて見やすいのはとても良いのですが、ずっと手で持って使うにはツライ大きさです。
なので、iPad Pro 12.9インチ(第6世代)は基本的にスタンドに立てかけて使うとか、お絵描き用のタブレットとして使うなど使用用途は限られてくるでしょう。
この大きさのタブレットを常に持ち歩いて使うのはなかなか気合が必要となります。
Face ID(顔認証)がマスク非対応
iPad Pro 12.9インチ(第6世代)は顔認証のFace IDに対応してますが、マスクをしてると認識できずに毎回パスコード入力が求められます。
これが本当に面倒くさい..。とくにカフェで作業してる時ってマスクしてたりしますがスリープ画面になるたびにマスクをずらすかパスコード入力が必要です。
指紋認証に対応していない
もちろん、指紋認証も対応してません。
iPad Air(第5世代)、iPad(第10世代)もフルディスプレイモデルですがトップボタンにTouch ID(指紋)を搭載することでマスクしながらも使える仕様を採用しています。
iPad Pro 12.9インチにもTouch IDを…とは言わないですが、せめてiPhoneで対応しているマスク対応のFace IDにアップデートしてほしいですよね。
これに対応できたらiPad Pro 12.9インチ(第6世代)は最高の大型タブレット端末になるのですが…今度、どうなるか期待したいところです。
端末価格がとても高い
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)も円安の影響で2022年7月に値上げとなりましたが、iPad Pro 12.9インチ(第6世代)はさらに高い価格設定になりました。
1TB、2TBモデルはメインメモリが8GBではなく16GBに増えるので512GBモデルよりも6万円も高い価格設定で従来モデルよりも全体的に1.5万〜2万円ほど価格が高いです。
元々が高い端末だっただけにさらに上に突き抜けてしまった感が強いですが、1TB以上のモデルはなかなかサクッと買えるような価格でないことは確かです。
まとめ
iPad Pro 12.9インチ(第6世代)は2022年10月に発売したM2チップを搭載した大画面ディスプレイを搭載したハイエンドタブレットです。
高価なだけになかなか手にしにくいモデルですが、どんな人がiPad Pro 12.9インチ(第6世代)を選ぶべきか、おすすめなのかまとめたいと思います。
iPad Pro 12.9インチ(第6世代)おすすめな人は
iPad Pro 12.9インチ(第6世代)を選ぶべき人は予算に余裕があって大画面でマルチタスクで作業をしたり、外部モニターを接続して作業したい人向けです。
- 大画面のiPadを使いたい
- 高性能なiPadで動画編集をしたい
- デザイン制作を快適にしたい
- メインマシンとして使いたい
- 外部モニターでマルチタスク
12.9インチの大画面があれば作業性に困ることはなく、外部モニター拡張モードで2画面体制にして作業も可能です。動画編集しながらTwitterをしたりサムネイルを作成したりとか。
Macと同じAppleシリコンを搭載してるのでポテンシャルはかなり高い端末ですし、DaVinci Resolve for iPadで動画編集をガチでこなすことも可能です。
出来ること自体はiPad Pro 11インチ(第4世代)と同じですが、12.9インチの画面サイズは圧巻の大きさなので持ち運びより作業することを重視するならiPad Pro 12.9インチ(第6世代)はおすすめです。
こんな人は買う前によく考えて
ただし、多くの方は旧型のiPad Pro 12.9インチ(第5世代)で問題ないですよね。M1チップ、ミニLEDディスプレイも搭載しているのでほぼほぼ最新モデルと同じ感覚で使えます。
唯一のデメリットはApple Pencilポイントが使えないくらいでホバー機能が必要ないなら第5世代を選んで問題ないです。
iPad Pro 12.9インチ(第5世代)はまだ整備済製品が出たことがないので中古で買うことになります。中古なら129,800円くらいから手に入れることができるのでiPad Pro 12.9インチ(第6世代)よりも5万円ほど安いのでいいですよね。
多少の使用感はあるかもですがiPad Pro 12.9インチ(第6世代)はやっぱ高いので中古ショップなどで安く見つけて1世代前のモデルを買うのもいい選択肢になります。